いま、会いにゆきます

著者 :
  • 小学館 (2003年2月27日発売)
3.70
  • (858)
  • (797)
  • (1580)
  • (100)
  • (26)
本棚登録 : 5802
感想 : 994
4

初めて本を読んで泣くという経験をした。最初はなんだかセカチューに似ているなと勝手に思っていたが、予想外の展開に吃驚した。ある程度ストーリーを知ってはいたけれどまさかあんな風になるとは思わなかった。
一生懸命、澪のいない日々を過ごしてゆく巧と佑司。彼らの不思議な生活習慣も面白く、でも切なく悲しみに包まれていた。しかし澪がアーカイブ星から戻ってきた時(話の中で彼らはそう呼んだ)話は大きく展開していく。記憶を失った澪。彼女はまたアーカイブ星に戻ってしまうと悟った巧と佑司は、なんとか彼女が幽霊だということを隠そうとする。そんな2人が何故か哀れで可哀想で、でも愛おしく感じられた。
彼らの慎ましい生活の中には沢山の幸せが溢れていた。それを羨ましく思うし、彼らがいつまでも幸せであって欲しいという思いも、読み進めていくうちに強くなっていった。ああ彼らはなんて健気なんだろうと。些細な幸せで満足できる。それはお互いの愛があるからではないか?私はそう思う。
幸せは長くは続かない。ラストでは澪の愛、それは母親としても、巧の妻としても両方あって、とても暖かくて大きい愛だった。そこからずーっと涙が止まらなくて、大きくしゃくりあげるくらい、もうすごい泣き方だった。何故私が泣いてしまったのかうまく説明できないけれど、この本の事をしっかり理解できないけれど(私がまだまだ子供でボキャ貧だから)、本当にこのお話が切なくて愛おしくて、たった一晩で私の大切な本になった。ブックオフで108円で買ったこの本だが、それ以上に私の人生に大きな影響を与えた、そして与えるであろう、そんな本になった。108円以上の価値やそれ以上のもの(うまく言い表せない)を得た気がした。大好きな作品。映像でも買ってしまったからそちらも是非観てみたい。その時はまた感想を書いてみたい。 2015/09/10

追記:学校で先に何ページか読んでいたけれど、途中でやめて家で読む事にして、やっと昨日読み始めたんだけど、(それが上の感想)9時前に読み始めて11時前に読み終えた。私的にはゆっくりゆっくり、一語一語を噛み締めて読んでいたつもりだったから思ったより早く読み終わって意外だった。今まで躍動感のある作品ばかり読んで、きりきりと緊張感があったからページを繰るのが早くなっていったんだけどこの作品はゆっくりとしたペースのつもりでも結構なスピードで読んでいた事になる。吃驚。
あと、今まで台風やなんやらで雨の日続きだったし正直憂鬱だとか思っていたけど、このお話を読んでちょっとだけ、本当にちょっとだけ雨の日が好きになった。

願わくは、澪がアーカイブ星で、ちゃんと愛の物語を綴れますように。巧と佑司が仲良くしっかりと生きていけますように。この星にいる彼らもちゃんと自分の小説を書き上げられますように。そしていつかはアーカイブ星でみんな幸せに暮らせますように。そう思わざるを得ない作品だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2015年9月10日
読了日 : 2015年9月9日
本棚登録日 : 2015年9月10日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする