なに、なに、なんなんこれは。一気に好きになってしまったこのリズム。
前半はね、太宰治の滑稽小説に通ずるユーモアと言葉のリズム。
「〜かしら」を「〜か知らん」として自然な文は、私は好きで、そんなん実に個人的嗜好ではあるけれど、p19の「なにかこう、さすがに、奥歯的な何かはないものかしらんと、そんなことを巡らせる風な毎日であったのです」とこられた時、嬉しさでコツンと頭を叩かれた。
わたしの中の私、そう、わたくし率イン歯
まだ存在せぬ子にお母さんとして向けた日記とその日時の不調和
痛みの総和
存在、有と無
主語がない「雪国」の冒頭
トピックのそれぞれが不揃いのようで、いや、でも結局総じて主題に全て向かってく。
後半、p.80〜85の爆発にはやられた。
そう、そう、これよ。そういうことよ!
「世界に一個のなんでかこれが、なんでか生まれてぜったい死ぬてこんな阿呆なことあらへんやろうが、こんな最大珍事もあれへんやろが、なあ、なんでかこれのこの一致!わたしと私をなんでかこの体、この視点、この現在に一緒ごたに成立させておるこのわたくし!ああこの形而上が私であって形而下がわたしであるのなら、つまりここ!! この形而中であることのこのわたくし!! このこれのなんやかや!」
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
純文学
- 感想投稿日 : 2010年2月17日
- 読了日 : 2010年2月17日
- 本棚登録日 : 2010年2月17日
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