寝る前に読む 一句、二句。 - クスリと笑える、17音の物語 -

  • ワニブックス (2017年10月27日発売)
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感想 : 18
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本当に寝る前に読んだら、一句二句では終わらなくて三句四句と読み進めてしまい、止まらなくなった1冊。

「プレバト!」でおなじみの俳人・夏井いつきさんと、その妹で俳人(にとどまらない多才な経歴をもつ)ローゼン千津さんの著書です。
お二人が選んだ俳句と、その意味、季語を説明した見開きの次に、紹介した俳句について夏井姉妹の対談ならぬ雑談が続くのが基本で、ときどき夏井いつきさんのコラムがさしこまれるスタイルです。
俳句は全然ワカラナイ分野で、俳句を読んだだけでは意味が全然イメージできないものもありましたが、お二人の雑談を読んでいるとひとつの五七五のなかに、そんなにたくさんの解釈があるのか!と驚きました。

他者の俳句がなにをあらわしているか考えるためには、自分のなかの今まで経験した出来事や想いを総動員しなくてはいけないし、それだけでも解釈できないものがあるからこそ、他者の解釈を聴くことがおもしろくなるのですね。
テストではひとつのこたえしかありませんが、俳句にはいろんなこたえがある。
もちろんそれは俳句だけにとどまらず、絵画、短歌、陶芸、工作、などなどいろんなことに言えるのでしょうが、その人その人がその作品を見て、どんな情景を思い浮かべたのか言い合うことで、よりその自分の世界はな広がるんだなあとおもいました。

また俳句は自分を表現する手段としても、とても有用なのですね。
自分を表現するなにかしらの手段があるとないとでは、人生のたのしさや苦しみの感じ方が違ってくるとおもいます。
俳句以外の方法を自分をあらわす手段としてすでに持っているならそれでいいのですが、もし方法を持っていないのなら、俳句なんていかが?なんて、思わず言いたくなってしまう本でした。

雑談を通して、夏井姉妹の家族の様子まで丸わかっちゃいますし、俳句紹介のベージの絵もとても味があって大好きです。この絵、好き!
(イラストは山口洋佑さんという方だそうです)
夏井姉妹の雑談を読んでから、もう一度、俳句のページにもどったものもありましたし…
クスリと笑うだけでなく、ホロリとなったり、いろんなおもいを味あわせていただいた1冊でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 生きること、死ぬこと
感想投稿日 : 2022年1月5日
読了日 : 2021年12月27日
本棚登録日 : 2021年12月16日

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