ニャーヴル美術館 ねこあーと in ルーヴル

  • 講談社 (2015年1月28日発売)
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本棚登録 : 43
感想 : 6
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回送先:品川区立二葉図書館(OM02)

パリ・ルーブル美術館収蔵作品のいわば「猫置き直し」作品をまとめた一冊である。どちらかといえば知名度の低い作品を中心にしてはいるのだが、それでも現在六本木・国立新美術館で開催中のルーブル展に間に合わせたような印象を抱くのは評者の深読みなのだろうか。

さて、本書の特徴は先述したように「収蔵作品における人物の猫化」である。と同時に懸念材料になるのは、対概念として、犬の存在をかなり低いものとして位置付けていることにある。もちろん、それが自体が問題ではないのだが、対概念と位置付けるとき、そこからこぼれ落ちる何かが本書からそっくりそのまま滑り落ちた印象を受けるのである。
ちょうどこれは、昨年ヨコハマトリエンナーレで見た「猫へのインタビュー」という作品に似ている。つまり、インタビュアーが発するフランス語の質問に「ニャー」でしか答えない相手の猫の関係に準じるように、ヤマモトの価値観に猫を合わせているような印象を受けるのである。たとえそれがチェックしているというアシスタント兼ペットの家猫の価値観に合致していないとしても。

シュー・ヤマモトにはぜひとも「忘却の美術」の猫化バージョンを出していただかねばなるまい。それがたとえどれほどの痛みを伴うものだとしても(個人的はマイケル・ランディ「アート・ビン」の猫化を期待したいところである)。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 借受:23区
感想投稿日 : 2015年3月14日
読了日 : 2015年3月14日
本棚登録日 : 2015年3月14日

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