守銭奴 (岩波文庫 赤 512-7)

  • 岩波書店 (1973年11月16日発売)
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本棚登録 : 200
感想 : 28
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他人の評価よりも、家族よりも、とにかく金!
金がすべて!という、実にわかりやすいオジサン。最後は上手いことまとまってハッピーエンドに終わる。アルゴパンも多少痛い目にあったけど、全然反省の色がなく、ただただ自分の財産が減らなかっただけで満足してしまう。ここまで徹底した拝金主義は、逆に微笑ましくさえ思えてしまう。

シェークスピアの戯曲が人気があるのはわかる。彼の戯曲にはドラマがあって、人が死んだり殺されたり狂ったり…喜劇でも変装したり…といろいろ手が混んでいる。文学的な意義もあるのだろうけど、とりあえずドラマがあるので一般人にも面白く読める。

対してモリエールはこれといったドラマ、ストーリーの盛り上がりに欠ける。日常をデフォルメして面白おかしく描いてるだけ。だから若い頃はモリエールが全然面白く思えなかった。でも今読むと、こういう単調なものも楽しめる。年をとるのも、悪いことばかりじゃない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 戯曲
感想投稿日 : 2021年7月29日
読了日 : 2021年7月29日
本棚登録日 : 2021年7月29日

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