愛の妖精: プチット・ファデット (岩波文庫 赤 535-1)

  • 岩波書店 (1959年3月5日発売)
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本棚登録 : 695
感想 : 54
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ジョルジュ・サンドは男装の麗人と言われ、男の名前を名乗ったり男性的なイメージが強いけれど、本質はかなり女っぽいんじゃないかと思う。

確かに自身をモデルにしたと言われるヒロインのファデットは、身なりに構わず、木登りしたりするお転婆で、色が黒くて男の子のようだ。けれど女らしい一面も併せ持つ。

ファデットは普通の女の子と比べると理屈っぽいかもしれない。サンドの文章も説明的でくどい。そしてセリフが長い!橋田ドラマ並みのセリフの長さに…辟易

この話は出てくる人が比較的みないい人で、妬みややっかみの感情のぶつかりはあるものの、穏やかなストーリー展開。1つひっかかるのが双子の兄シルヴィネのキャラ。悪い子ではないけど、弟に過剰な思い入れがあって、何かとヤキモチを妬く。自分の思い通りにならないと熱を出して寝込む。どやしつけたいようなキャラなんだけど、最後は3人の中で一番成長する。というか、シルヴィネがいなければ、この物語は凡庸過ぎてつまらなかっただろう。

これは二月革命が起きた頃の作品で、サンドは前書きで、こんな不安定な時だからこそ、毒のない安心して読めるものを世に送り出したいと述べている。今のこの時期にも同じ事が言えそうに思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: フランスの小説
感想投稿日 : 2021年8月5日
読了日 : 2021年8月3日
本棚登録日 : 2021年8月3日

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