稲盛和夫の実学―経営と会計

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  • 日本経済新聞出版 (2000年11月7日発売)
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シンプルで倫理観・道徳心ある稲盛さんの経営。Google も倫理観や道徳心を大事にして経営しているらしいが、ガラス張りの経営や仕事への実直さは勉強になります。

商売というのは、値段を安くすれば誰でも売れる。それでは経営はできない。お客様が納得し、喜んで買ってくれる最大限の値段。それよりも低かったらいくらでも注文は取れるが、それ以上高ければ注文が逃げるという、ギリギリの一点で注文を取るようにしなければならない。

経理が準備する決算書を見て、たとえば伸び悩む収益のうめき声や、やせた自己資本が泣いている声を聞き取れる経営者にならなければならない

経営者が会計を十分理解し、日頃こら経理を指導するくらい努力して初めて経営者は真の経営を行うことができる

本質的に強い企業にしようと言うのであれば経営者が自分や企業実力以上に見せようと言う誘惑に打ち勝つ強い意志を持たなければならない。

設備投資を行えば生産性それ自体が向上するであろうし、最先端の技術を使っていると言う満足が得られるかもしれない。しかし実際はそれがそのまま経営効率の向上につながるとは限らないのである。

メーカーの場合では特に受注生産している場合中でもOEM (相手先ブランドによる委託生産)で生産している場合に1番この問題が起こりやすい。例えば工作機械3台の注文をもらうとすると部品は念のため4台分発注し、トラブルに備えるとする。しかし運良く3台とも問題なく良品ができたところがあと1台分の部品が残っているそのような場合いつまでも部品を抱えておくのではなくできるだけ在庫評価をせずに朝から落とすべきなのである。すなわち既に価値のないものが財産として置いてあり資産となっているのである。こうして結果としては利益が見かけ上増えて不必要な税金を払っていると言う場合が出てくるのである。その意味で棚卸しは人任せにせず、本来経営者が自分の目で見て自分の手で触れて行うべきである。

必要な分だけ買う。不必要な分もまとめて買っても結局は食べきれず、腐ったりする。企業経営も同じ不用意な設備投資は在庫リスクを抱えることになり、余分なコストが発生する。

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感想投稿日 : 2020年5月20日
読了日 : 2020年5月20日
本棚登録日 : 2020年5月20日

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