夜の淵をひと廻り

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店 (2016年1月30日発売)
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本棚登録 : 108
感想 : 24
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担当する山王子のことは全て把握していないと気が済まない地域課巡査シド。彼が記す山王子で起きた事件の数々。警官を襲って拳銃を奪おうとした犯人は狂人なのか。祭りで起きた通り魔殺人。地域で連続して起きる不審死。失踪した旦那を探す妻。闇を飲み込んでいるかのようなアパートの扉の向こう。ある衝動を抑えられない青年の告解。星を空に返す少女の幸せ。不良息子の行く末。山王子で起きる事件に彼は何を思うのか。

えぐくて奇妙で変態で、でも切ない連作短編集。1話のインパクトがすごくてここからどうするんだと思ってたら普通に仕事してて笑ってしまった。つまりそういう話。全編サイコパスな事件だしシド巡査は変態だと思うけど為すべき仕事を普通にしてるそのギャップが面白かった。「悪の家」あたりでテンポもわかってすごい面白くなってきたから、「新生」読んで、いやこれもったいないから二冊目からこの設定でやろう!もうちょい巡査物語しよう!って思ったのにやっぱりあっさり終わってまたしても笑った。後半の3編は全部切なくて悲しくてでも希望があってすごく良かった。キャラも皆魅力的だったから、やっぱり回顧録みたいにして続編だそう!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2016年7月7日
読了日 : 2016年7月7日
本棚登録日 : 2016年2月6日

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