人は、なぜ他人を許せないのか?

著者 :
  • アスコム (2020年1月25日発売)
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Audible利用(4h 5m)

人の脳はわかりやすい攻撃対象を見つけ、罰することに快感を覚えるようにできている。この快楽にはまってしまうと、簡単には抜け出せなくなってしまい、罰する対象を常に探し求め、決して人を許せないようになる。この状態を、著者の中野信子さんは「正義中毒」と呼ぶ。

"自分は違う"とどこか他人事で読み始めたのだけど、読み進めるにつれ考えを改めた。脳のはたらきとして備わっている以上、私もいつでも「正義中毒」になる可能性がある。中野さんが挙げる例の中には「私も気を付けなくてはいけないな」と思うものもあった。ついレッテル貼りやラベリングで他人(他国、他民族)を判断してしまうこと。赤の他人をおおっぴらに批判したくなる気持ち。これらを全くゼロにはできないかもしれない。まずはそんな自分を俯瞰する力を養うことが大事らしい。


★「正義中毒」に陥らないために★
実践できそうなこと・実践したいこと
①日常生活の中で自分を振り返る余裕を持つ
こうしてブクログに自分の感想を書く時間は本当に貴重だと思う。

②あえて不安定で過酷な環境に身を置いてみる
この5年間、一子一役ルールだとか持ち回りだとか言われ、毎年PTAと自治会の役員をしないといけなかった。かなりの負担だった反面、思いもよらない新しい経験をしたり自分とは全然違うタイプの人と親しく付き合うきっかけになった。地域の安全のため尽力している人たちの存在を知り、価値観が変わったところもあった。
来年度はやっと役員関連は一旦お休み。楽になるけどボケそうだな、と内心思っていたところなので、中野さんのこの提言は響いた。
新しく何か始めなきゃ!と焦るつもりはないけれど、ちょっとした面倒事の機会はそのうちやって来ると思うので、その時は躊躇せず飛び込みたい。

③絶対に読まない本、関心のない本を手に取る
すぐにできることのはずなのに、めちゃくちゃ難しそう。私だったら、自然科学?マネー?ビジネス?政治とか恋愛小説とか……。

④自分にも他人にも一貫性を求めない
これは本当によくわかるのに、肝心なときに忘れてしまいがち。相手との距離感によっては一貫性のなさに振り回されてしまい、寛容でいることが難しい時もある。
「人間は不完全なものであり、結局永遠に完成しない」、「結論の出ない問題を考えつづければよい」と、中野さんは言う。自分も他人もブレるし、変わる。変化や曖昧さをサラッと受け入れ、流したり楽しめたりする自分でありたいと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: Audible
感想投稿日 : 2023年3月26日
読了日 : 2023年3月21日
本棚登録日 : 2023年3月21日

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