この映画に出てくる人間達は確かに様々に醜悪だし、主人公は弱く狡い人間だけど、私にはその姿を非難する勇気がない。
また、人間の醜さ・残酷さと比して、「異星人は賢く善き存在だ!」と手放しでそちらを応援することもできない。「共存」というものがどれほど難しいかを見せつけられ、重苦しい気分だ。
主人公に嫌悪感を持つのは、まさに私自身の弱さ・醜さが描かれているように感じるから。全く同じ状況に置かれたときに、私はこの映画に出てくる人間達のような振る舞いを決してしないと自信を持って言うことができない。
追い込まれた主人公は弱く狡い人間なりに足掻き、最終的に彼の中の正義感や友愛をわずかに取り戻す行動をとった。その行動が人間にとって、異星人にとって、地球にとって、正しい選択だったのかは映画の中ではわからない。
かつての味方からの銃弾を浴びる極限状態で、彼がその選択をすることがどれほど苦しく過酷だったかを思うと、心がさらに沈むような、私もほんのわずかでも抗えるだろうかと自分を信じたくなるような、相反する気持ちでかき乱される。
観て良かったと思える映画だった。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年12月18日
- 読了日 : 2022年12月18日
- 本棚登録日 : 2022年12月18日
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