眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く

  • 草思社 (2006年2月23日発売)
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2021/7/10 読み終わった
カンブリア爆発が好きなので。カンブリア爆発とは、カンブリア紀という地質時代の一時期の地層から、それより古い時代の地層からは一切発見されていなかった生物の化石が大量に発見されたことから、カンブリア紀に生物の多様性が一斉に花開いたことを指す言葉。
つまり、カンブリア紀以降の地層からはいくらでも化石が見つかるのに、それよりの時代(先カンブリア時代という)の地層からは化石が出てこない。これはどういうこと?を解明している。

小説じゃないからネタバレすると、まず
①先カンブリア時代にも生物は多様であった。(カンブリア紀に生物の進化が急加速したのではない)
②食物連鎖もあった。ただし、捕食者は眼を持っていなかったため、捕食行動は受動的だった。イメージとしては、口を四六時中開けておいて、口の中に入ってきたものを食べる感じ。
②そのため、被捕食者は捕食者から身を守る必要性が低く、外骨格を進化させなかった。
次に、カンブリア紀になって、
③捕食者が眼(光受容器とも言っている)を持った、つまり捕食が能動的になった。
④捕食から身を守るために、被捕食者が硬い外骨格を備えるようになった。
⑤そのため、外骨格が化石として残り、カンブリア紀の生物たちは現代の我々の知るところとなった。

なるほどこういうカラクリだったのか…と納得したところ、この説は著者が提唱している新説であって、一般に広く認められている説では必ずしもないということも併せて知った。知らない単語とか生物名とか出てきたときに調べても、本書の説と関連する記述が一切なかったり、語彙自体が検索結果に無かったりした。時代の最先端の学説を読むってこういうことなんだなって、思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2021年8月14日
読了日 : 2021年7月10日
本棚登録日 : 2021年8月14日

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