行為無価値の良本と言うことで購入。
刑法の目的である法益保護、規範統制といった根底にある理論から始まり、行為無価値と結果無価値を徐々に立ち上げ、そして様々な視点から対比していく。
個人的な感想としては、前半読む分には行為無価値と結果無価値の対立をやや結果無価値寄りに書かれている気が…(と言うのも、恐らく書き方の問題で、行為無価値理論→注釈(もしくは結果無価値からの反論として)で結果無価値理論のような書き方をするので、どうしても結果無価値の方が妥当に思えてしまう。)行為無価値の良本と言うより結果無価値の良本じゃないかと思うような内容だが、しかし先に進むにつれて次第に行為無価値の妥当性にハマっていく不思議な本。
著者の考えを押し付けることなく『本書の立場では〜』といった書き方で著者の刑法学の道筋を示しつつ、程よく判例・通説そして反対説まできちんと書かれている点はかなり評価できると思います。
本書の問題点を強いて挙げるなら、(恐らく二元論を取りつつ行為無価値の根底は崩さないために)緊急避難や正当防衛といった違法性訴却事由を消極的構成要件とする考え方が多少馴染めない点。
あと、これは私自身の勉強不足からだが、後半の共犯論あたりからはかなり難解で読むのに苦労した。
私自身、刑法総論はこの一冊しか読んだこと無い初学者だが(その意味で上記レビューの信憑性はあまり高くないwww)読んでいて間違いなくオモシロかった!!
『法のため人があるのではなく、人のために法があるのだ。』のくだりは感動もの!!
初学者にも行為無価値論者、そして結果無価値論者にも全然勧められる一冊です。
- 感想投稿日 : 2012年1月24日
- 読了日 : 2012年1月24日
- 本棚登録日 : 2011年12月25日
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