富士日記(上) 新版 (中公文庫 (た15-10))

著者 :
  • 中央公論新社 (2019年5月23日発売)
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感想 : 28
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日曜の朝10時、FMで小川洋子さんの「メロディアスライブラリー」を聴いている。それで知った本。小川洋子さんは随分気に入っているらしく、他の本を紹介する回でも「富士日記」に言及することがあり。

興味は持ったんだけど、でも、作家の奥さんとは言え、素人の日記だよなと、手を出さずにいたのだが。先日、新版が本屋に平積みされたので、購入。

読み始めて、う~ん、やっぱり只の日記かな、と思ったけど、ジワジワ百合子さんという人が見えてくる。

赤い実を口に入れようとして、泰淳さんに怒られる。
「ふらふら散歩に出かけて、やたら道ばたものを口に入れるんじゃないぞ。前に死にそうになったのに懲りないのか。」(前にあったのね。)

暗いガタガタのトンネルの中で車のホイールキャップが外れる。ふらふらトンネルの中に探しに行く泰淳さん。轢かれてしまうと怯える百合子さん

停車中の処にトラックに追突される。百合子さんは相手と交渉してるのに、泰淳さんは相手の助手席に乗り込んでビール飲んでたりする。

自衛隊が対向車線の中央分離帯を越えてくるので、「バカヤロー」と怒ると、泰淳さんに怒られる。その後、頭に血が上って無茶苦茶荒い運転をする百合子さん。

変な夫婦だなあ。

巻末に泰淳さんは日記には富士が美しいと書いてないと、記している。
それでも富士山麓の自然の雰囲気と過酷さが伝わってくる内容だと思う。最初は、冬は東京に帰っていた筈なのに、何で厳冬の年末年始を過ごすんだろう。そういう説明は全然ない。日記だから。

「暮れ方のサクラは一番きれいだ。何度でも観てやる。これはみんな私のものである。」
人に読ませる気があったら書けない文章だな。

勿論、続きも読むつもり。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2019年7月21日
読了日 : 2019年7月16日
本棚登録日 : 2019年7月16日

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