記者時代、街が過疎化する要因で「若者が魅力に感じる店がない」がよく上がった。「それが理由なわけがない」と地方で生まれて東京でも暮らして、再び地方に戻ってきて思う。ここでいう「若者が魅力に感じる店」は大きなファッションビルやスタバで、そのようなものを必要とする「欲望の満足は、それがまだ成就されていないあいだにだけ成立し、完全に成就された瞬間に消滅するという、きわめて皮肉な構造によって人間を翻弄する」だけだ。
著者は消費とは何かという問いに、劇作家・山崎正和氏の言説を引用する。いわく「消費とはものの消耗と再生をその仮りの目的としながら、じつは充実した時間の消耗こそを真の目的とする行動だ」
タイトルの「第四の消費」はまさにこの消費そのものの行動として紹介されている。第三の消費までの「私有志向」から、つながりから充足感を得る「シェア志向」への変遷を歴史的な経過と消費行動の変化を例示しながらわかりやすく示している。後半の地方への回帰に関する論拠は情緒に偏った論説が目立ち、あまり興味はそそがれなかった。だが、歴史を踏まえて、現在の消費動向を考える上では良書だと思う。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
社会
- 感想投稿日 : 2013年2月17日
- 読了日 : 2013年2月17日
- 本棚登録日 : 2013年2月17日
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