自分が恋人や家族、会社など社会の様相で見せる別々の「分人」が存在するといった「分人主義」が提唱された近未来が舞台だ。主人公は人類で初めて火星に飛び立った日本人宇宙飛行士で、大統領選が迫るアメリカで、自らのさまざまな「分人」のはざまで葛藤する登場人物たちの様子は、SNSが発達し、個人の情報量が細分化されている現代の行く末を予兆しているようだった。
主人公が抱える「隠したい過ち」を直視し、世間に公表することで「善き分人」を取り戻そうとする過程は、日ごろ、「よく思われたい」と行動する自分自身を見透かされているようにも感じる。
こう書いているととても難しそうに見えるかもしれない。でも、冒険小説とも恋愛小説とも社会小説とも読める作品は、幅広く薦めたい魅力もあると思う。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2012年6月18日
- 読了日 : 2012年6月18日
- 本棚登録日 : 2012年6月18日
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