平安貴族の生活ぶりと道長の性格や暮らしがわかりやすく書かれている。
道長という人は頭の良い、いいとこのボンボンがそのまま偉くなったという印象。
傍若無人な振る舞い、感情をそのままに出すところなど、他を気遣わなくてもいいということがよくわかる。
この時代ならではの権力者であり、それ以外の時代ではこんな無邪気な権力者は出てこないのではないか。
貴族最高位の藤原家の棟梁にして、天皇の外戚というのはそれほど盤石であり、権力の失墜の心配さえいらなかったのだろう。(怨霊のおそれはあったが)
しかし、平安貴族の最盛期と言われるこの時代は国政として見れば最低最悪の時代のように思える。
朝廷での自分や身内のことが関心のすべてであり、視野もせいぜい京都周辺が入るのみ。
身分が下の者は生き死になどなんの関心も持たない為政者とは、為政者と言えるのか?
この本には民政や地方の政治のことなど全く書かれていない。
表の責任者は天皇であるが、実権に乏しく、権力者の関心は儀式と人事のみ。
まだこの前の天皇の親政や院政の方がマシだろう。
外国からの侵略もなく、下剋上の心配もない貴族制というのはこんなに酷くなるのか、この時代に元寇が無くてよかったというのが率直な感想である。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本史
- 感想投稿日 : 2024年3月23日
- 読了日 : 2024年3月23日
- 本棚登録日 : 2024年3月23日
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