クルッテイル、クルッテイナイについて考える事で
それらを生んでいる「常識」とは何か問い直そうという本。
『信じることと、疑うことと』もそうだったけど、
脱力系で皮肉屋な文章が良い。
自分のものさしを持つ人間は、人は人、自分は自分と思う。
その人間は、自分に直接被害がおよぶようなとき以外、他人の行動に寛容でいられる。
反対に
平均的な枠の中に自分を押し込めた人間が持つのは、平均のものさし。
平均のものさしを持ち続けるには、つねに他人のものさしに気をつかっていなければならない。
だから、世間体というものを、気にする。
彼らにとって、平均からはずれた人間は、自分のたよりにしているものさしを動かしてしまう危険がある人間。
自分の土台をおびやかす存在に対して激しい敵意を向けることさえある。
途中で精神分析の話が掘り下げられていくところはちょっと難しかったけど、
精神科医と、素人のF君というふたりの対話形式で書かれていて読みやすい。
ちょくちょく挿まれる正常、異常に関するエピソードも分かりやすくて面白い。
本当に本当の自分のなかに、社会で常識とされている枠からはずれる部分があるのは当然で、
それが狂うということであるならば、だれでもどこか狂いかけている。
そんな部分があるから人間は面白いと思います。
結構共感できたな。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
心理学
- 感想投稿日 : 2013年4月18日
- 読了日 : 2010年7月24日
- 本棚登録日 : 2013年4月18日
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