詩のすすめ: 詩と言葉の通路 (詩の森文庫 103)

著者 :
  • 思潮社 (2004年12月1日発売)
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感想 : 9
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中身の確認なく購入したため
期待した内容とは大きく相違がみられた。



雪はその白さから治る日はない―ということを散文的に言えば、雪は永久に白いという、只それだけの意味にすぎない。しかし、白さから治る日はない、という表現のもたらす衝撃の強さは、散文で言い直した意味からは、まず生まれる可能性のないもので、雪が白という呪縛から逃れることはできないということを、いやおうなく読者に感知せしめる。


魅力にある語句は、いろいろな創造の楽しみの間に遊ばせてくれるものである。

海を脱ぐということは、普段、海をぴったりと着こんでいることをごく自然に想像させる。その海を脱いで魚が水面から上へ踊り出るのである。こういう表現は私たちの常識的表現に不意打ちをくらわす。そして魚の躍動感を鮮やかにつたえてくる。われわれも、魚が海を脱ぐというように常識を脱ぎたいと思わせる

「堅実な末路」という言葉は、なんとも奇妙な気分を与える言葉である。普通、「末路」というと、その上に「不幸な」とか「悲惨な」とかいう形容語を持ってきたくなる。ところが…

わからない、或る体験が、私の詩の好機のスタートです。わからなさを無理にわかろうとしません。その信望が、表現という名の労働行為です。

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感想投稿日 : 2013年11月7日
本棚登録日 : 2013年11月7日

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