ゼロ時間へ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

  • 早川書房 (2004年5月14日発売)
3.84
  • (92)
  • (151)
  • (121)
  • (13)
  • (2)
本棚登録 : 1278
感想 : 122

アガサ・クリスティの1944年の作品。

STAR DRIVERに出てくる「ゼロ時間」はこれを踏まえてではないかと気になったという、比較的安易な動機で手に取りました。

導入部分は色々な人物の事件前のエピソードが描かれており、
追っていくのに若干集中力を要しますが、舞台が
事件の現場となるガルズポイントに移ってからは
事件がなかなか起こらないにもかかわらず、
非常に引きこまれる流れになっているのは流石です。

トリックよりも人間の心理が事件の重要なポイントであり、
それに対応して、事件が起こるまでの各人の描写が充実しているというのは、実に無駄の無い、美しい構成ではないでしょうか。

結末は、自分が英国式ハッピーエンドと呼ぶものに
分類して良さそうなもので、どちらかと言えば蛇足な気はするものの、
綺麗にまとまっていると感じました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリ
感想投稿日 : 2011年2月7日
読了日 : 2011年2月5日
本棚登録日 : 2011年2月3日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする