カーテン 7部構成の小説論

  • 集英社 (2005年10月26日発売)
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評論集ではあるが後書きにもある通り7部構成・主題の反復というその形式は小説的でもある。読者家としてのクンデラはラブレーやセルバンテの様な古典作家がいかにカーテン=紋切型の表象を切り裂き、喜劇によって世界がそうであるものと思われていた意味を剥ぎ取っていったのかを示していく。語りの通底として諦観が透けて見えるのは、いつになく直接的に示される亡命者としての悲しみに、滅びやすいものである芸術の歴史が重ね合わされているからだろうか。美しいものは決して不滅ではない、だからこそそれは語らなければならないものなのだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 評論/研究
感想投稿日 : 2014年9月19日
読了日 : 2014年9月19日
本棚登録日 : 2014年9月19日

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