シーシュポスの神話 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1969年7月17日発売)
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「真に重要な哲学上の問題はひとつしかない。自殺ということだ。」ああ、全くもってその通りだ。兄に自殺された身にとって、その言葉はより実感を伴って響いてくる。世界はいつも割り切れず、生はいつだって不条理だ。カミュの哲学は難解だが、それは安易な跳躍を良しとせず、不条理という困難さから決して目を逸らさないが故の必然的産物である。「すべてよし!」と未だ断定に辿り着けない生、だが大事なのは到達することではない。カミュは不条理に引き裂かれながらも、それでも「すべてよいものか?」と絶えず問い続ける敗北の人生を肯定する。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 評論/研究
感想投稿日 : 2013年2月4日
読了日 : 2013年2月4日
本棚登録日 : 2013年2月4日

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