贈与論 (ちくま学芸文庫 モ 11-1)

  • 筑摩書房 (2009年2月10日発売)
3.84
  • (22)
  • (45)
  • (28)
  • (2)
  • (2)
本棚登録 : 942
感想 : 41
4

ドイツ語におけるGiftは「毒」の意味も併せ持っているというのは象徴的だ。そう、資本主義が商品の売買によって他者との関係を築くのに対して、それ以前の未開社会は相互の贈与によって他者との関係を築き、それは政治や法律の代替として機能していた。だからこそ贈与には受領や返礼の義務が付随するのであり、それは又物品だけでなく感情の交換をも担う行為でもあった。「貰ったのと同じだけ施しなさい。そうすれば万事上手くいく」これは決して偽善から生じたものではなく、人類の歴史が育んだ叡智の結晶であったのだ。知的興奮が止まらない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 評論/研究
感想投稿日 : 2013年8月26日
読了日 : 2013年8月26日
本棚登録日 : 2013年8月26日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする