『オペラ座の怪人』で有名なガストン・ルルーによる、「こわい話」の作品集です。とは言っても超自然の恐怖を描いたものは少なく、解説にもあるように奇譚(あるいは綺譚)と呼ぶ方が当たっているようです。
「胸像たちの晩餐」から「恐怖の館」までは、ツーロンのカフェに集まった海の男たちが自分の体験談を語るという設定になっています。この手の小説の古典的なやり方でしょう。
・「金の斧」
これにはミステリ小説風の味わいもあります。読む人によっては「なぁんだ」となるかもしれません。
・「胸像たちの晩餐」
文字通り「悪夢のような」晩餐の様子を描いた、鬼気迫る作品です。
・「ビロードの首飾りの女」
これが1番こわい作品でした。サスペンスにもあふれています。
・「ヴァンサン=ヴァンサンぼうやのクリスマス」
何だこれは? となりますが、最後に落ちが待っていました。しかしあまり成功したとは思えません。
・「ノトランプ」
これもミステリと言ってもいい内容です。小説の完成度という点から見れば、これが1番でしょう。
・「恐怖の館」
真相がはっきりと語られておらず、どちらにでも解釈ができる困った話です。
・「火の文字」
この作品集では唯一、超自然の存在が登場します。その使い方がいいと思いました。
・「蝋人形館」
手っ取り早く言えば「肝試し」の話です。それにしても何とも妙な物語です。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
ホラー
- 感想投稿日 : 2009年1月18日
- 読了日 : 2009年1月18日
- 本棚登録日 : 2009年1月18日
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