この本は1961年に雑誌『みづゑ』に連載されていたもので、ずーっと澁澤が出版をためらっていたものである。これが刊行されたのは1979年である。澁澤らしくない文体であると評されるこの本は、私が思うに書斎のダンディーこと澁澤自身が指向したかった悪の真意とは《hypermoral 超道徳》であり、悪そのものではなかったが故に、悪をそのまま額面的に捉えてしまったこの本はバタイユ・バルトルシャイティスを根幹とするうちに翻弄され、自身を見失ったことを『若書き』と評して照れたのかもしれない。
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- 感想投稿日 : 2005年1月20日
- 本棚登録日 : 2005年1月20日
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