- Amazon.co.jp ・洋書 (44ページ)
- / ISBN・EAN: 9780064430876
感想・レビュー・書評
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チョーサーの『カンタベリ物語』のなかの一挿話だそう。それにバーバラ・クーニーが絵をつけている。
話の展開が変わっている。昔あるところに貧しい未亡人がいて……みたいに語りは始まって、てっきりこの未亡人とその子どもたちが主役なのかと思ったら、
なんと半分くらい進んだところで、未亡人の牧場で飼われている雄鶏のChanticleerが主人公だと判明。
(ちなみに気になって上の名前を調べてみたら、中世の寓話で雄鶏の擬人化した名前だという。chantは歌、cleerはclearの古い綴りだろうか? なにせ本作でも歌声自慢の雄鶏だし)
バーバラ・クーニーの描いたこの立派な雄鶏の絵がまた見とれるほど良い。さてそんなある日、この牧場へキツネがやってくる。明らかにChanticleerを食べようと狙っているのだが、
あなたの父上にも劣らぬ上手な歌を聴かせてほしいとキツネに言われ、気位の高い雄鶏はすっかりその気になってしまい、キツネに言われるがままに目を閉じて歌いだそうとすると、首根っこをくわえられて捕まってしまう。
(このとき、未亡人をはじめ、子どもたちや動物たちがキツネの後を追う)
その後はじまる、雄鶏とキツネによるおおげさで雄弁な問答が本書のハイライトだろう。雄鶏はキツネの理性を呼び覚ますため、そして逃げ出す隙を作るためにキツネを説得しようとする。
そしてまんまと樹上に逃げることに成功。
お世辞を真に受けないようにという教訓的な滑稽譚だが、それとはまた別に、理性とはためらいである、という命題をうまく描いた物語でもあると思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
1391words RL3.5 840L
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1959, Ages 4-8