Brighton Rock

著者 : GrahamGreene

• Vintage Classics (2004年11月2日発売)

感想・レビュー・書評

[johnnycakeさんの感想 · 2022年12月29日]

イギリス・ブライトンを舞台に町のギャングのリーダーとなった１７歳のピンキーと殺人事件の重要な手がかりを目撃した１６歳のローズ、殺人事件の真相を追うアイダの三人を中心に話が進む。ずいぶん前に映画を観て、何だこれ？とモヤモヤした気持ちだけ残っていたが、今回原作を読んで納得。映画は最終場面を変えてあった（と思う、再鑑賞せねば）。最後の告解の場面がローズの行動の背景を説明してくれている。映画だけ観て私はローズは馬鹿なだけの女だと思っていた。これは犯罪小説というよりはカトリックの道徳に関する小説だなぁ、と思う。

グレアム・グリーンの本は何冊か読んだが、これはその中でも割と読ませるほうだと思った。これまで読んだどの作品にも共通しているのが、登場人物たちは救われない。この作品の中でアイダは結果に満足しているようだが、彼女はもともと救われる必要がない正義だし。

原作でピンキーのことを語りの文はやたらとThe Boyと言及していて、殊更ピンキーの若さ・幼さを強調しているように見えた。ピンキーとローズを見ているとロミオとジュリエットの視野の狭い恋を思い出してしまう。ピンキーはローズを愛してはいないのだが。