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- Amazon.co.jp ・洋書 (912ページ)
- / ISBN・EAN: 9780099516231
感想・レビュー・書評
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イギリスの作家ジョージエリオットが19世紀半ばに書いた長編小説で、舞台はヴィクトリア朝の少し前(1830年頃)の地方都市。「失われた時を求めて」のプルーストが愛読していたと聴き興味を持ったが、実際、群像劇的な構成と、リアルで精細な心理描写(「人間ってこういうものだよね…」と考えさせられる)は、両作品に通じるところがあった。
「失われたときを求めて」が、若者の夢想と恋愛の描写に多くの頁を割いているのに対して、この「ミドルマーチ」では、結婚後の生活の苦悩が詳しく描かれている。聖女のような共感と献身の情が溢れる女性ドロテアと、誇り高く世界的な発見を志す医師リドゲイトという、二人の若者を軸として、それぞれの結婚と、それを取り巻く人間関係、特に、結婚生活とそれに伴う困難のために、若い頃の情熱がどのように変質していくかが、強い説得力をもって描かれる。その他にも、老若男女、多くの魅力的な登場人物が、それぞれのドラマとともに描かれ、人生の色々な側面に示唆深い内容になっている。
結婚について考える機会の多い、25〜35歳くらいの方には是非お勧めしたい一冊。日本語訳がどうも絶版になっているようで、手に入りにくいのが残念。原書は、一文が長く読解に苦労する箇所もまま有ったが、洋書を読むことに多少慣れている人なら許容範囲内かと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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