Smoky Night (Caldecott Medal Book)

著者 :
  • HMH Books for Young Readers
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感想 : 1
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  • Amazon.co.jp ・洋書 (40ページ)
  • / ISBN・EAN: 9780152699543

感想・レビュー・書評

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  • 本書にはちょっとびっくりした。
    勝手に美しい夜の話を想像していた。SMOKYという語は頭のどこかに引っかかっていたけれど。

    ページを開いてみると、なんと「ママ」と、猫のジャスミンを抱く「ぼく」が、部屋で明かりもつけずにじっとしている。
    窓の向こうでは暴動が起きているからだ。
    どうも、ロサンジェルスの暴動のことらしい。
    暴徒たちは通りの店々を破壊し、略奪をはたらいている。
    恐ろしがる「ぼく」をママはなだめる。2人と1匹はいっしょに眠ることにする。

    ところが「ぼく」はママに揺すり起こされる。アパートメントが火事だというのだ。
    親子は1人の女性に先導されてシェルターに向かう。しかしその途中でジャスミンとはぐれてしまう。

    けっきょく消防士の男性がジャスミンを連れてきてくれるのだが、もう1匹、近所で店をやっているミセス・キムのオレンジの猫も彼は抱いている。

    いつもは犬猿の仲なのだが、どうしてかいっしょにミルクを飲み出した。飼い主どうしもさして仲がよくない。というか、互いに知らないだけだ。

    「落ち着いたら、あなたと猫で、わたしたちとミルクをシェアしに来て」
    と可笑しなことをママはミセス・キムに言うが、誰も笑わない。ミセス・キムは、
    「ありがとう。行きます」
    と答える。

    こうして「ぼく」とママは、ミセス・キムと少しだけ近づきになれた、という話だが、なかなかにリアルで読後、胸にずっしりと残るものがある。これは多かれ少なかれ実体験ではないのか。

    絵は、マッチや布や紙や靴底や衣服やドライフルーツなどなどをコラージュして写真に撮ったものを背景として、暴動の夜がアクリル絵の具で太い輪郭線でもって描かれる。暴動の夜であるのに、人物たちの表情は静かだ。そして目は毅然となにかを見据えている。

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