The Secret History: 25th anniversary edition

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  • Amazon.co.jp ・洋書 (640ページ)
  • / ISBN・EAN: 9780241982884

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  • 敢えてキャッチコピーを添えるなら、「大人向けのダークなハリーポッター」。カリフォルニアの凡庸な生活を逃れるようにアメリカ東部の古式ゆかしい名門大学に編入した主人公が、キャンパスで出会った古代ギリシアを学ぶ五人の仲間と教授に導かれ、倫理と美の追求に耽る。しかしその行為がエスカレートするあまりに、彼らはいつの間にか道理から外れ、正と美は血に塗れ…。主人公が完全にマグルの世界から魔法使いの世界に飛び込んだハリー。ただ、彼は最後の最後まで徹底的に傍観者であって、そこがハリーとは違うし、好きな所以。加害者から被害者に、被害者から加害者に転じる青年達もいずれも愛嬌があって好き。何よりモロー教授のラスボス感と、彼の最後の決断がとても人間臭くて良い。

    いや〜面白かった、好きだ、心の一冊だ、と読了後にしみじみと実感した作品。新潮文庫版では1000頁近くあるも、あっという間に読み終わっていた。元々同作家の長編『ゴールドフィンチ』(2019年にハリウッド映画化されるも大失敗に終わる)が結構好きで、泣きながら、笑いながら、咆哮を上げながら狂気に飛び込んでいくような登場人物達が頭からこびりついて離れなかった。本作も同様に、罪を犯した青年達が自滅の道を突き進む姿が何とも痛ましい。彼らの自傷行為の様な暴挙に感化され、作中で多用されているドラッグやアルコールを摂取したかのように悪酔いどころかバッドトリップしてしまい、読了後は実際に体調が悪くなってしまった。なのに?だから?彼らの爆竹同然の一瞬の生命の輝きに目が眩み、また読みたい、と手を伸ばしてしまう。この悪魔のような魅力は筆舌に尽くしがたい。葬式のシーンですら笑かしにくるのも憎いんだよなぁ。『ゴールドフィンチ』を上回るどストライク作品だった。タートは寡作な作家で、10年に1回のペースで小説を世に出しているんだけど、これを読んで、一生をかけて追いたい作家だと確信した。

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