The Angel's Game

著者 :
  • Weidenfeld & Nicolson
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本棚登録 : 2
感想 : 1
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  • Amazon.co.jp ・洋書 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9780297855545

感想・レビュー・書評

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  • “The Cemetery of Forgotten Books”シリーズ4作品のうちの2作目。実は1作目である”The Shadow of the Wind”は2度読んでいて、初めて読んだのは2012年に遡る。え、もう10年も前になるのか…。あれから何冊も洋書を読んできたけど、本当に現在においても私の歴代読了洋書1位の座に君臨すると言ってもいいくらいに感銘を受けた本で、「シリーズの残り3冊も早く読みたいけど、でもシリーズが終わってしまうのも嫌だし…」という相反する気持ちのせいで、なかなか続編を読む腰が上がらないままどんどん月日が流れ、2020年のロックダウン中に「よし、今年こそ続編を読み出そう」と意気込んだ際、2作目を読む前に1作目を再読しておこうと耳読書で読み返したまでは良かったんだけど…なぜかそれからまた2年も時間が経ってしまった。とほほ。ということで、このシリーズ2作目である今作を手に取るまでにかなーり時間が掛かってしまったけど、やっと読めた。元々買っていて手元に保管してあったペーパーバックで目読書しつつ、オーディオブックで耳読書もし、主にハイブリッド方式で挑んだ今回。

    舞台は前作同様、常に太陽が雲の影に隠れ、雨が降り続ける灰色のイメージに包まれたバルセロナ。1作目の世界が繰り広げられた1945年よりも何年も前の時間軸で、でも前作よりももっとダークで狂気に満ちた世界観が展開していった。オーディオブックにして15時間半という長編なんだけど、長いと感じさせず読者をストーリーに引き込む文章力。スペイン語から英語に翻訳された本だけど、原作の出来はもちろん、それだけ翻訳者の腕が優れてるんだなぁ。今回の主人公はDavid Martinという青年が主人公で、彼の周りで起こる不気味で不可思議で恐怖すら覚える出来事が、作者が作り出す独特な世界観で語られる。典型的な探偵小説やサイコスリラーだと、最後には誰が黒幕で、読者を翻弄するカラクリが全て明かされるというのがお決まりだし、このシリーズにおいても前作ではもっと最後に全てがクリアになった記憶がある。だけど、今回は最後まで不思議な箇所は少し残ったままで、終わり方も灰色のイメージのままで、でもそれがまたこの物語らしいというか、いい味を出しているというか、読者が読了後にこの不可思議な余韻を楽しめるように作者が配慮してくれてるような気になる。この作品は、最後の種明かしの為に読むのではなく、特殊な世界観で繰り広げられる上質なサスペンスを主人公の視点を通して味わう為のものだな思った。1作目の主人公だったDanielの存在も今作の最後にちょこっと顔を出し、これからシリーズ3作目がどう展開していくのかが気になるところ。今年こそ、このシリーズを読破したい。

    明日から2週間ほど旅行に出かける予定で、出発前までにこの本を読み終えられればいいなと思いながら読み始めたけど、実はイギリスに行く前にちょこっとだけスペインはマドリードにも立ち寄る予定。この本の舞台はバルセロナだけど、私はスペインに行くのは今回が初めてなので、マドリードの街を歩きながらこの本のことを考えるんだろうなぁ。

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