- Amazon.co.jp ・洋書 (448ページ)
- / ISBN・EAN: 9780375724503
感想・レビュー・書評
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以前レビューした"Cloud Atlas"の作者のデビュー作。
9つのパートに分かれていて、最初の沖縄は逃亡中のカルト信者(オウム風、サリン実行犯風)、次の東京はジャズレコード店で働く青年、香港は人生がけっぷちのイギリス人ビジネスマン、、、という風に、場所と視点(主人公?)を変えて語り継がれていきます。
最初はそれぞれの接点はすごく小さいのですが、だんだん読むにつれて、登場人物たちは知らないつながりが見えてきます。
とはいえ、「最後にびっくりするようなbigger pictureが見えてじゃじゃーん」っていうわけでもありません。
butterfly effect的というかsix degrees of separationというか、個人個人の人生が思わぬ形でつながり影響しあうことこそがテーマの一部という感じです。
"Cloud Atlas"もそうですけれど、凝った構成がテーマと一体となっているからこその面白さ。この構成を思い付き、なおかつ書ききる度量があったことが勝因でしょう。でも、この作家さんが普通の作品を書いても面白いのか、それともこんな変わった小説ばっかり書き続けられるのか、人ごとながら心配ではあります。
日本に長く住んでいた作家さんだけあって、日本のパートも違和感はほとんどありません。細かい疑問はあるんですけど、トンデモ日本ではないというか。村上ファンでもあるんだと思うんですよね。東京パートは明らかにムラカミへのオマージュって感じです。
面白かったですが、のちに書いた”Cloud Atlas"のほうが、完成度は高いです。
またびっくりするような本を書いてくれないかなあ。詳細をみるコメント0件をすべて表示