- Amazon.co.jp ・洋書 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9780399590504
感想・レビュー・書評
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【配架場所】 2F 図書館アルバイト学生おすすめ図書
【請求記号】 289.3||WE
【OPACへのリンク】
https://opac.lib.tut.ac.jp/opac/book/188244詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2018年、アメリカでのベストセラーの一冊。
アメリカのアイダホでモルモン教のサバイバリストの家庭に育てられた著者の回顧録。
父親の狂信的な考え方は、連邦政府を悪の手先とし、自給自足生活を是とする。
その結果、著者タラは学校に行くことがなく(初等教育を受けられなかった)、オックスフォード大学に進学することになる。
これは何も特別な考え方ではなく、小さな政府を精神的に是とされる気風がアメリカに根強く、庶民であってもオバマケアを否定的にとらえることなどに象徴される。
また、アメリカには、タラのように学校に行かず、自宅学習をする子供達も少なくない。
つまり、この本は、トランプが何故誕生したのか、アメリカの一つのキャラクターを描いたものとして捉えることもできるのだ。
これは、アパラチア山脈沿の崩壊する白人コミュニティ(トランプ王国)に育ちながらアイビーリーグに進学できた、これもまたベストセラーの「ヒルビリー・エレジー」とも通じる。
この本は、モルモン教の特異性やオックスフォード大学へ進学したことの秘訣を語っている本ではなく、家庭内の葛藤、特に権威的な父親との対峙がテーマになっている。
(兄から受けた家庭内暴力も含めて、父権的なモルモン教を暗に批判しているのかもしれないが)
親と子の葛藤、トラウマは何もタラに限ったことではなく、その観点で普遍的な共感がベストセラーに繋がっているのかもしれない。
彼女が呪縛から逃れることができたのは、特異な家族からの経験を「Educated」として捉えることができたからである。