Apples to Oregon: Being the Slightly True Narrative of How a Brave Pioneer Father Brought Apples, Peaches, Pears, Plums, Grapes, and Cherries And Children Across the Plains
- Turtleback Books (2008年7月29日発売)
- Amazon.co.jp ・洋書
- / ISBN・EAN: 9780606373708
感想・レビュー・書評
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タイトルがやらたと長く、早口言葉みたいになってて楽しい。作中にも有名な早口言葉からの引用があるから、きっとわざと遊んでる。
タイトルだけでなく、テクストのリズムにもけっこうこだわっていてなおかつ遊び心があるところが魅力的な絵本。
語り手は少女。彼女のお父さんはリンゴを育てることをこよなく愛している。だから一家でアイオワから移住するとなったとき、お父さんはワゴンに土をしきつめ、そこにリンゴの木をはじめ、いろんな果物の木を植えて持って行くことにする。
本書は見ようによっては、そんなお父さんのわがままのためにアメリカ西部への移住がたいへんになるお話といってもいい。一家は雨風や乾燥や寒さ(ジャック・フロスト)から必死で木々を守りつつ、ミルウォーキーを目指す。
とはいえ道中のたいへんな騒動が、とても楽しげに描かれていて心踊る。風で吹き飛ばされた家財道具が荒野で見つかり、その中に水がたまっているのを見つけて狂喜するシーンよかった。
途中、本文に、アメリカじゅうにリンゴの種を植えた有名な開拓民であるジョニー・アップルシードの名が出てくるから本書は彼をモデルにしてるのかなたぶん。
ゴールドラッシュにわく西部だが一家は金には目もくれず、大切に運んできた果物の木をその地に植え、果物に高値がついて一家に富をもたらしましたとさ、というオチ。
少女の名はDeliciousという。これはいまアメリカでもっとも広く栽培されているリンゴの品種の名前だとのこと。移住先でお父さんは娘を肩車しながら言う。
「Delicious、きみはいつだってthe apple of my eye(目の中に入れても痛くないくらい愛しい存在)だよ」詳細をみるコメント0件をすべて表示