- Amazon.co.jp ・洋書 (480ページ)
- / ISBN・EAN: 9780719522215
感想・レビュー・書評
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妹を誘拐されてしまい、父親もいなくなってしまったジョニーが、妹を探すために友だちジャックと共に旅に出る、という話。一方で、ジョニーとジョニーの母親を守るためにハントという刑事ががんばる、という話。
ネットで検索すると、2011年「このミステリーがすごい!」という海外版のランキングで5位にランクインされていて、読んでみた。
上で述べた2つの話が交互に進んでいくが、なかなか交錯しないので、いつになったらつながるんだろう、と思いながら読んだ。段落が変わるといきなりもう一方の話になっていたりするところが読みにくい。確かに予想してない結末ではあるけれど、それを知った時の驚きというのも少なかったのはなんでだろう。読後感もあまりぱっとしなかったが、特に途中、別の女の子がさらに失踪する、というところから始まる一連の流れは、深みがなくて物足りない感じがする。『スタンド・バイ・ミー』のような雰囲気、ジョニーとジャックの友情を描く部分はよかった。(11/05/26)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ぐいぐい引きつけるという感じではないが、読み始めると止まらない。文学的な面白さもある、良く出来たミステリー。英語はとっても易しい。
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久々に、予定外の徹夜をしてしまった。ごろごろと話が二転三転していって、最後の着地点から見える光景は見事。「one sentenceで一気に腕の毛を逆立たせる力」を久しぶりに感じた。
ネタの面白さだけでなく、感動も備えたサスペンス小説ってあまりめぐりあえない。私にとっては、この本はそんな貴重な一冊となりました。
双子の妹を何者かに誘拐されてしまった、13歳の少年ジョニー。事件から一年経った今、父は失踪、母は失意から薬物におぼれ別の男に服従し、警察は一向に犯人のめぼしさえたてられない。
誰も頼れない。誰も信用ならない。ならば、僕が強くならなくてはいけない。
妹の無事を信じ、家族の再生を願って、ジョニーは犯罪歴のある近隣の住人たちを監視し続ける。手には地図と懐中電灯を持って、胸にはネイティブアメリカンのお守りを秘めて。
どこかの、誰かが、真実を知っている。そいつはどいつだ?
グリシャムのcrime novelと、アメリカの伝統的なjuvenile adventure色(ハックルベリーとかStand by meとか)をバックに、これまたアメリカの地方の空気を精巧に織り込んで書きました・・・という、「アメリカっぽさ」を堪能できる小説。
なかでも私は、「個人の家が持つ暗さ」が何よりアメリカっぽいと思った。話の本筋とはだいぶ離れてしまうけれど。
地下室とか大きな庭とか薄暗いガレージとか、表からは見えない部屋とか隣の家との距離とかプライバシーという名の距離とか・・・「american crime」という映画があったけれど、米国の郊外の家のつくりを見ると、ふと「外側から見えない領域」について連想をしてしまう。そこを身を潜めて覗きに行く子供は、確かに犯罪者にとっちゃ相当脅威でしょうよ。
自身の強さに限界を設けて立ち止まる大人と、自身の強くなれる余地を信じて勢いこむ子供。力を持つものに曲げられる理不尽さとそれに対抗する屈強な意志・・・人々のそんなせめぎあいも、奥深い。
個人的には、このラストで非常に良かったと思います。子供が主人公だもの、やっぱり、そう終わって欲しかった。それだけで、この著者が好きになりました。他の作品も読んでみよう。
子供は強い。と思うと同時に adults can screw up kids' lives, really badly..と胸が軋む。
私に子供はいませんが、子供を一人で歩かせたくなくなります。 -
こまかいセリフまで芸が達者だなと思いながら読みました。何度も繰り返し同じフレーズや違う場面で違う話が重なり合う。因果応報みたいな。うまい。作家ってすごいですね。緻密な計算が感じられます。たたみかけるように事実が発覚していく。うーん。
この作品はアメリカで起こりそうだなと思うような犯罪が主題ですが、単なるデテクティブストーリーではなく、人間の内面を通して事件を描こうとしているなあと思いました。John Hartの作品はこれがはじめてですが、今まで私が読んだ数少ないサスペンスのなかでは、すごく読みやすかったです。 Jeffery DeaverとかDan Brownとかよりあくが強くない感じ。この作品は子供が主人公なのでとてもとっつきやすかったです。女性でも話に入り込みやすいのでは思います。