- Amazon.co.jp ・洋書 (464ページ)
- / ISBN・EAN: 9780789305251
感想・レビュー・書評
-
コンピューターを使ったデザインで、John Maedaはいつも僕らを驚かせてくれた。
ハイスペックのコンピューターが手軽に安価に手に入る現代でも、それを使ってのグラフィックデザインなんて、日本では多くがDTPどまりだ。
レイアウトやトリミング、写真補正の便利なツールとしてしか使われてない。コンピューターがデザインにもたらしたインパクトってそんなものだったのだろうか。手でも出来るような作業の効率化?データの受け渡しの簡便化?
でも、コンピューターを使ったデザインってそんなものではないはずなんだ。もっと、このツールにしかできない表現があるはずなんだ。
そしてJohn Maedaはポール・ランドやブロックマンに敬意と憧憬を抱きながらも、コンピューターを使った新しいグラフィックデザインやビジュアルを模索して来ていた。
この本では、それらがクロニクルに語られる彼自身の生い立ちや、考えとともに、彼の生み出した作品を見る事が出来る。
しかし、これは良く有る薄っぺらなデジタルなデザインの作品集ではない。この本は、その厚み、紙質、レイアウトなどとともに、一個の表現として、存在感をもっている。
コンピューターを用いたデザインの可能性と美しさ、面白さ。John Maeda自身はインタビューでこれらの試みは既に過去の物で、今は全く違う新しいことに挑戦していると述べていたが、このようなコンピューターとデザインの可能性は、多くの人がハイスペックなコンピューターをもつ今こそ、John Maedaのような先駆者の手から離れ、今度はそれぞれのデザイナーの手で探求されていかなくてはならないのだろう。
その結果また面白い影響がコンピューターとデザインに加わっていくのかもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示