Man's Search for Meaning: Young Adult Edition: Young Adult Edition

著者 : Viktor E.Frankl

• Beacon Press (2017年4月25日発売)

感想・レビュー・書評

[rukiyoさんの感想 · 2018年2月28日]

アウシュビッツの強制収容所を経験した精神科医、フランクルの本。前半は収容所の体験を、後半は体験及び自身の長年の考察を踏まえ、「ロゴセラピー」について語っている。
厳密には歴史の本ではないが、世界史を語るうえでナチスの所業ははずせない。
実はこの本、大学で心理学を専攻したときに読んでいる。難しいなあと思ったけど、今回も難しかった。特に後半のロゴセラピーの理論のところ。生きる意味の定義が漠然としていて、今でもつかめない。まだまだ人生の修行が足りないのか。
辛い体験（ましてや死ぬか生きるかの）は忘れたいと多くが思うし、トラウマとして生涯残る人もいるだろう。でもフランクルがその体験を乗り越えられたのは、彼の中に確固たる「人生の意味」があったから。彼自身が「Man's Search for Meaning」を体現している。その点でもこの本は説得力がある。強制収容所という地獄を見た人が問いかける「人生の意味」は、どこまでも深い。
生きる意味を心理学的アプローチから考察した貴重な文献というだけでなく、強制収容所生活の強烈な体験記としても、この本には価値がある。