Number9Dream: A Novel
- Random House Trade Paperbacks (2003年2月11日発売)
- Amazon.co.jp ・洋書 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9780812966923
感想・レビュー・書評
-
これはいい!
もう1回じっくり読もっと(´ω`)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
イギリス人男性作家による、日本(主に東京)を舞台にした長編小説。主人公は、まだ見ぬ父親を探して生まれ故郷の屋久島から東京に出てきた、ミヤケ・エイジ(詠地?)という19歳の男。季節は晩夏。『number9dream』というタイトルは、ジョン・レノンの「#9 Dream」(邦題「夢の夢」)という曲から採られているとのこと。
ギターが趣味で、ジョン・レノンを敬愛する純粋な少年が、大都会で様々な出会いと冒険を経験するという、一見「青春小説」っぽい作りになっている。一人称視点。実際、私は青春小説として楽しめました。
初めて読んだのは2001年。自分にとっては英語が難しく、8割ぐらいしか理解できなかったこともあり、「もう二度と読む気にはならんだろうな」と当時は思ったのですが、2005年夏、またエイジに会いたくなった、ということで再び手にしました。やはり難しい・・・が、やはりこの本を手放さなくて良かった、と思いました。主人公を含む登場人物達、そしてそこに描かれている世界が、やはり魅力的だなぁ、と。
ちなみにこの本が私にとって(部分的に)読み難かったのは、場面が急に変わる個所が比較的多いことも原因です。主人公に妄想癖があるため、いつの間にかSF的な世界に入ってしまい、何がどうなっているのかイメージできない・・・という感じで。更に、作中に映画、童話、他人の日記、夢など、「日常世界」とは異なる文脈が現れるため、それについていくのも大変でした。
また、割と頻繁に比喩表現が使われるので、それを読み間違えないように気をつけねばなりませんでした(David Mitchell 氏は相当頭の良い方らしく、凝った表現を次から次へと繰り出してきます)。
そしてもう一点、注意すべきは、時折、結構エグい残酷描写があるということです。。。
とにかく、夏に読む青春小説としてはお勧めです(特に東京に住んでいる人には)。