Winnie-the-pooh (Winnie-the-pooh Classic Editions)
- Farshore (2016年6月2日発売)
- Amazon.co.jp ・洋書 (147ページ)
- / ISBN・EAN: 9781405281317
感想・レビュー・書評
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ライバル現る。これまで、マイベスト熊はディック・ブルーナのブラックベアだった。でもウィニー・ザ・プーはまったくタイプが違うもののそれに匹敵する。
地球規模で「今さらなにを言う」という声が聞こえてきそうだけど、プーかわいすぎる。
E.H.Shepardのイラストも良いんだよな。なんか雑な感じが。球に近づければかわいく見えるだろうという意図が見え透いた、ディズニー化する前の絵が。
(そういえば、ムーミンも初期の頃の絵はまったく愛想がなくて、むしろ獰猛な感じでこちらを睨みつけているのが良かった)
どの挿絵もいいけど、クリストファー・ロビンが座ってきついブーツを履こうとしているあいだに、プーが背中にもたれかかって押さえてあげている挿絵がとくにたまらない。
物語の形式もすばらしかった。作者が息子のクリストファー・ロビンに語りかけるかたちで進んでいく。クリストファー・ロビン自身とぬいぐるみのプーから始まる物語。
なかでも感心したのは、父親のA.A.が語り出した物語に対して、クリストファー・ロビンが、覚えているよ、と相槌をうつところ。
今生まれつつある物語に、覚えているよ、と返す。こうして、なんというか、間主観的に父子の間で物語が生まれていくプロセスをも書き込んでいることのすごさとそのリアリティ。子どもは実際にこうした相槌をうつ。自分が気に入ったことを、覚えている、と平気で言える。
そしてまた、キャラクターたちが身勝手で良い(またそのちぐはぐさが笑いを誘う)。だれもすぐには他動物(ひと)の言うことを聞こうとしない。でも胸を打つのは、プーもクリストファー・ロビンもピグレットもアウルもラビットも自己肯定感にあふれているところ。それぞれの幸福を森中に発散しているところ。
あのメランコリックなイーヨーでさえ、実は自分が大好きだ。
だからよけいに、森の仲間に対する、見返りを求めない優しさが身勝手さの奥に少しでも垣間見えると、グッときてしまう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
YL5.5 21,469語
ハラハラドキドキする話もありましたが、最後はほっこりして終わりました。