Principles for Dealing with the Changing World Order: Why Nations Succeed or Fail

著者 :
  • Simon & Schuster Ltd
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  • Amazon.co.jp ・洋書 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9781471196690

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  • 世界最大のヘッジファンドの創業者かつ最高投資責任者である著者が、過去数百年の間に世界の覇権を握った国々に共通する要因を特定した上で、今日の世界情勢を形作る「原則」と、それに基づく未来予測をまとめた一冊。

    著者はまず、歴史上の全ての覇権国が、①長期債務と資本市場の発達と崩壊、②国内における秩序と混乱、③他国との間の協調と紛争という3つの大きなサイクルに沿って、100〜400年程度のスパンで発展と衰退を繰り返してきたことを明らかにする。

    具体的には、国の勃興期は金や銀といった正貨が通貨となるが、実体経済と金融システムの成長に伴い、正貨に紐づいた兌換紙幣、さらには正貨から切り離された不換紙幣の登場により、投資/負債を活用した更なる生産性の向上が可能となり、教育や新技術によるイノベーションが経済・金融・貿易・軍事力における競争力がさらに高まることで、覇権国としての地位を確立する一方、この頃には国の債務が莫大になり、基軸通貨としての価値が低下するとともに、貧富の差の拡大がポピュリズムから内戦に、また新たに勃興してきた国々との紛争が戦争へと繋がり、最終的には覇権国としての座を空け渡すことになるという。

    本書の後半では特に1500年以降の覇権国であるオランダ、イギリス、アメリカが全く同じサイクルを辿っていることを示した上で、今日のアメリカは6つの発展段階の5段階目を迎えており、特に悪化する対中関係や二極化が進む国内情勢の状況によって、衰退期である6段階目に入るかどうかが微妙な状況になっていると分析する。一方で中国については、過去1400年にわたる発展と衰退の歴史がもたらす儒教とマルクス主義を中心とした独自の価値観に一定の理解を示した上で、米中両国が、相手が「絶対に譲れない一線」があることを十分に認識した上で対話を続けるべきだと主張する。

    本書を読むと、自分が生まれてからこれまでの40数年は、数百年という長期視点で見れば、実は「一時的な安定と平和の時期」に過ぎず、努力して守らなければすぐにでも崩壊してしまう危ういバランスの上に成り立っていることが理解できる。巻末には日本を含む主要国ごとに「3つのサイクル」を含む17の指標による分析が掲載されており、日本の立ち位置がリアルに把握できて興味深い。

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