The Dot

著者 :
  • Candlewick
4.00
  • (0)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 6
感想 : 2
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・洋書 (32ページ)
  • / ISBN・EAN: 9781536218091

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • アートの授業が終わっても、Vashtiは椅子に座ったまま。彼女の紙はまっさら。
    そこへ先生がやってきて、
    「ただ点を打ってごらん。そしたら何が起きるか見てごらん」

    Vashtiはなかば偶然に任せて点を打つ。すると先生はそれをじっと見たあと、サインをするように言う。

    翌週、アートの授業に行くと、先生のデスクのうしろにVashtiの”点”が額に入れて飾っているではないか。

    それが引き金となり彼女は、もっと良い点を描けるのではないかと思いはじめる。ここから、点の追究が始まる。
    彼女はひたすら"点"を作る。その過程で、点にもいろいろあることがわかってくる。

    作品の公開日、一人の少年がVashtiを見上げている。少年は言う。
    「君はすごく偉大なアーティストだね。僕も描けたらなあ」
    「きっとできるよ」
    と彼女は返す。少年は、それに対して、定規でまっすぐな線も引けないと言う。そこで彼女は少年に一枚の紙を渡す。

    少年は震える手で線を描いた。それを見たVashtiは言う。
    「サインをして」

    このお話の先生の言葉はどうやら事実にもとづくらしい。作者が7学年のときの数学の先生の言葉。

    数学の先生ならではのアドヴァイスだと思ったが、同時にこれはとても実践的な創作のコツでもあると思った。

    また、この先生が偉かったのは、額に入れてしまえば、どんなものだって簡単に"権威づけられる"ということを気づかせたことだ。逆にそれが、作品そのものに磨きをかけたいという欲求を駆動させる。

    まずは偶然に任せてでもとりあえず意味は二の次にして"モノ"を先にかたちにしてしまう。
    そうすることで、なかば他人事のようにそれを眺めることができる。そしてそれを既成事実として、その後の展開を考えられる。

    じっさい、そうやって出来上がった小説や絵画が好きだ。思考の軌跡を辿れるからだ。音楽になるとさすがに無理が出てくるが(例えばジョン・ケージとか)。

  • 絵を描くのができないと思っている女の子。そして素敵な先生。女の子から男の子へ。人を成長させていくことってこういう事なんだなと思う絵本です。点を芸術に、思いを後世へ。

全2件中 1 - 2件を表示

Peter H.Reynoldsの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×