ラストでほーっとため息が漏れた。この話に漂うもの悲しさから絶対悲恋で終わるかなと思っていたので。Thomasが11年もAnneを待ったっていうのがすごい。全てを失った彼がまた宝物と出会えて良かった。全然話は違うけど、映画の『アクアマン』を思い出した。あれも海に還ってしまったニコール・キッドマンをパパが待ち続けていたなあ。
ロマンス本は初めて読んだけれど、Outlanderにはまる人たちはこの少女マンガのようなドキドキと古典文学のようなせつなさを求めて読んでいるんだな、と理解。あれだけの長いシリーズを追いかけるのは大変そうだからいつか読んでみたい・・・。いつか。今作では1922年のアイルランド革命がテーマだったから少しだけ自分なりに色々調べた。わずか数年の間にたくさんの人々の命が失われたけど、それでも祖国のために戦いたい人と戦は何も生まないと反対する人。それぞれの立場が痛いほど伝わってくる。Mick(Michael Collins)の最後はあまりにもあっけなくて驚いた。史実より少し日付は遅れていたけれど、きっと運命は決まっているということなんだろう。
章の始めに引用されるW.B.Yatesの詩はニュアンスを楽しめないときも多かったけど(英語力不足)、まさしく!と理解できる時もあってそういう時は自分の英語力が上がったと錯覚しそうになって、作者がいかにYatesの詩を読み込んでいるかを実感する。
それでもEoinが結局すべてを分かっていてラストの手紙を出さずに取ってあったとかAnneとThomasの絵本を図書館に寄贈していたとか。伏線が一気に回収されるのもまた良かった。