積読リストに「小川洋子」さんなる方の著作が溜まっていたので著者のことを調べてみたら、翻訳書が数多く出版されていることに気がつきました。ちょうど今月は小川さんの本を読むことをテーマにしていた中、この本は英訳でどこまで原著がまとう雰囲気が投影されるのかという興味で手に取りました。
結果から言うと全く遜色なく、小川洋子さんの描き出す透明感のある世界が英文でも描写されています。読んでいて興味深かったのは、この本をもとに自分の中で描き出される登場人物が無国籍風であること。英訳したことによる結果なのか、あるい小川さんの書かれる小説の特徴なのかもしれませんが、海外の読者にも読みやすく素直に世界観が堪能できる一因なのかもしれないと思いました。
短編集の体をなしていますが、長編。短編としても、長編としても読めるユニークな構成でした。内容を知らずに、短編として読み始めたたため、再読して長編としても楽しみたいと思います。
どれも素敵ですがTomatoes and the full moonが好きかな。