The Absolutely True Diary of a Part-time Indian
- Andersen Press Ltd (2008年6月5日発売)
- Amazon.co.jp ・洋書
- / ISBN・EAN: 9781842708446
感想・レビュー・書評
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あるインディアン(ネイティブ・アメリカン)の青年が、自分の居住区を飛び出して、白人の通う学校へ。青年の視点から、その成長や環境をつづる。
インディアンを取り巻く実態は決してよいものとは言えず、悲しい事実も描かれる。それでも、軽妙なタッチで、青年の気持ちが手に取るように分かる良書。簡単な英語かつ小気味よいリズムで児童書に入るのかもしれないが、大人でも十分楽しめる。いや、世の中の不条理を知ってしまった大人こそ、読めるのかもしれない。
しかし、この本が素晴らしいのは、主人公が「動いた」ことにある。彼の行動で、いい面も、逆に悪いことも起こるが、それが人生。「挑戦」を忘れかけている人にぜひお勧めする。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
○あらすじ
ネイティブアメリカン居留地で暮らす14歳の"Junior"ことArnold。
生まれた時に脳にダメージを受けたせいで、
体は小さいのに頭と足が大きく、その上話す時はどもってしまいます。
居留地でも暴力の対象となってきた彼が、
ある日、白人の学校に通うことを決めます。
でも、Arnoldは学校唯一のネイティブアメリカン、
彼はそこでもイジメの標的にされてしまい…。
(あらすじは参考程度でお願いします。)
☆感想☆
以前からずっと読みたかった本で、
紀伊国屋のバーゲンで見つけた時は、即購入でしたw(それも200円)
ただ、最初にこの本を読みたいと思った理由が、
この“Indian”をインド人と勘違いしてたせいでもあるんですが…(苦笑
暴力での圧力よりも、この主人公に圧し掛かっているものは、
もっと重い貧困とアルコールの負の連鎖で、それに怒りを感じながらも
どうすることもできずにいる彼は、ある先生の一言から、
その輪から抜け出すことを決意します。
転入した白人の学校“Reardan”でも、彼は差別の対象になり、
また居留地内でも彼への非難は高まりますが、
Arnoldは、何があっても諦めたりせず、自分らしさを最後まで突き通します。
読みながら、以前読んだ「インド式マリッジブルー」の主人公と比べてしまいました;
あっちは自分の環境から抜け出すために、逆に非行に走るので、
どうも先々のことを考えてないようで共感しにくかったんですよね;;
でも、この「~a Part-time Indian」には、
最初から最後までこの本には希望が溢れていて、
読んでいて勇気をもらった気がします。
“Reardan”でのArnoldの学校生活が良くなっていくと、
逆に居留地で色々と悪いことが起こっていきます。
居留地で彼の唯一の味方だった親友のRowdyに嫌われ、相次ぐ身内の死。
それをアルコールで忘れることでしか乗り越えられない居留地の人々。
あまりに悲しい死が続くので、
ここまで日常茶飯事で死と直面しなきゃならないのかと驚きました。
(彼曰く、14年生きてきた中で42回お葬式に出たそう…)
こう見ると、すごく暗い話のような感じがしますが、
主人公らしい表現で、時には皮肉と笑いと彼の得意なイラストで描かれていて、
笑いあり、涙ありの楽しい作品でした☆
この本、“Banned Book”にされているらしく、
裏表紙には“Not Suitable for Younger Readers”の表記が…(苦笑
理由は、作中に登場する性的表現が原因のようです。
分からなくもありませんが、登場するのはほんの一部で、
この作品全体に流れる逞しさ…って言ったら良いでしょうか?
そういうものには変えられないと私は思いました。