La Chartreuse De Parme (Folio)

著者 :
  • Gallimard-Jeunesse
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  • Amazon.co.jp ・洋書
  • / ISBN・EAN: 9782070361557

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  • 耳読、邦題『パルムの僧院』。1839年出版。
    スタンダールの『赤と黒』に並ぶ代表作。『赤と黒』はフランスが舞台なのに対し、『パルムの僧院』はイタリアが舞台。スタンダールがイタリアに赴任していた際に見聞きしたもの・愛したものを詰め込んでいる作品。

    主人公はイタリア人貴族ファブリス・デル・ドンゴ。ファブリスの美人な叔母はその愛人の総理大臣モスカ伯爵とともに、ファブリスをパルムの宮廷で出世させようと画策。政治的陰謀の中で、いくつもの恋愛模様が展開される。

    古典の森の前で二の足を踏んでおり、耳読なら強制的に読み終えられるかなと思ってみたものの…
    ①古典を耳読するのは(特に前半)しんどく、新潮社の『パルムの僧院』で補完。『赤と黒』は本をきちんと入手してリベンジしたい。
    ②購入した音声バージョンが簡略版(texte abrégé)だった!小説の魅力が細部に宿るなら、それがごっそり抜けている筋を追いかける耳読にどんな意味があるのか…と反省しながら読んだ。

    というわけで細部に渡って理解できている気は全くしないものの、以下のようなことを考えた;

    本作の最後は「To the happy few」という、英語の献辞で終わる。フランス語を聞いていたら最後に英語が聞こえたものだから、驚いた。新潮社版の注釈によると、当時スタンダールは英語の勉強のためにゴールドスミスの『ウェイクフィールドの牧師』を読んでたらしく、そこから取ってこの献辞を書いたらしい。

    「To the happy few」
    少数しかいない、幸福な者に捧げる。

    本書は幸福であることの難しさを示しているのではないかと思った。
    当時の社交界におけるフランス人のように、社会的規範や虚栄心・地位に囚われていて幸福であれるのか。イタリア人のように純真に自分の幸福追求のために命や社会的地位や財産をかなぐり捨てることができるのか。自分の幸せに純粋に誠実になれる人はかくも少ない、と。
    ミヒャエル・エンデが憧れたイタリアの「生の軽やかさ」は、フランスから見ると、「規範的なものから自由になって、自分の幸せを追い求める」そういう生き方として目に映ったのではないかと思った。

    以下メモ

    第二章
    (Par-delà ces collines, dont le faîte offre des ermitages qu’on voudrait tous habiter, l’oeil étonné aperçoit les pics des Alpes, toujours couverts de neige, et leur austérité sévère lui rappelle des malheurs de la vie et ce qu’il en faut pour accroître la volupté présente.) L’imagination est touchée par le son lointain de la cloche de quelque petit village caché sous les arbres : ces sons portés sur les eaux qui les adoucissent prennent une teinte de douce mélancolie et de résignation, et semblent dire à l’homme : la vie s’enfuit, ne te montre donc point si difficile envers le bonheur qui se présente, hâte-toi de jouir.
    ーこの引用の最後の一文に出会えただけでも本書を読んでよかったと思った。そして作者が言いたいことはこの一文に凝縮されていると思う。

    第四章
    Il ne savait pas encore que c’est ainsi en France les gens du peuple vont à la recherche des idées.
    ーこのようなフランス人とは〇〇である、イタリア人と比べると〇〇である、みたいな文章が頻出。

    第十三章
    J’étais amoureux de l’amour, disait-il à la duchesse ; j’ai fait tout au monde pour le connaître, mais il paraît que la nature m’a refusé un cœur pour aimer et être mélancolique ; je ne puis m’élever plus haut que le vulgaire plaisir, etc.
    ー主人公の「恋に恋してる」ぶりにイライラして読んでいたら、本人自らそれを告白し始めて、その自己を客観視できるまでになった成長ぶりに思わず深く感動して記録。

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