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- Amazon.co.jp ・本 (390ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000004473
作品紹介・あらすじ
グノーシスとは、古代末期の地中海世界に発生したもう一つの宗教運動の名であり、また中世からルネサンスへと諸教派の盛衰を閲して、精神史の太い流れをつくったある系譜の名称でもある。そして、神秘主義的思想と交差しながら伏流水となって近・現代に流れ込んだその水脈は、優に世界観上の代案と目されるようになる。宗教としてのグノーシスの本質に迫る四つの主題が、本書の構造を決定している。世界と向き合う実践的な態度を象徴する極端な禁欲の形、キリスト教正典との比較を通して鮮明に浮かび上がる独自の救済論・救済者論、至高の存在を指し示そうとする否定神学の思考構造とその限界、そしてそれらの神話と教説を統合する物語のユニークな戦略である。グノーシスとは何か。その緻密な神話・教義体系を組み上げる原理とスタイルは、ストアや中期プラトニズムなど、同時代の思潮とのどのような影響関係から生成したものか。宗教思想としてのポジとネガには、現代を考える上で参照されるべきヒントが果たして隠されているのだろうか-文献の精密な解読を基礎として、これらの問いに答えようとする、三十年におよぶグノーシス研究の集大成。