- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000027502
感想・レビュー・書評
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8月6日のNHKスペシャル『封印された原爆報告書』を見て、改めてアメリカ政府の犯罪性を再認識しました。
敗戦直後から2年かかって、延べ1300人の日本を代表する医師や科学者たちが参加した調査団がまとめたもので、子供たちが、学校のどこでどのようにして亡くなったのかを詳細に調べたものや、200人を超える被爆者を解剖して放射線の影響を分析したものなど、すべて原爆被害のありのままを生々しく伝える内容の、181冊1万頁もの原爆被害の調査報告書を、この貴重な資料を、現実に被爆者のための治療や権利確保のために活かされることなく、ただ原爆の効果を知りたがったアメリカ政府が没収し隠蔽し、こともあろうかアメリカ国立公文書館のGHQ機密資料のなかに放置したままだったことが、歴史の闇の中からメラメラと燃え上がり明らかにされました。
アメリカは、広島と長崎に原爆を落としておよそ24万人を直接殺しただけにとどまらず、二度目には、生き残った人たちを救済する道をも断って死に至らしめるという、いわば二重の犯罪を犯した極悪非道のとんでもない奴なのです。
米国の退役軍人たちの主張では、否、なんと米国国民のその6割が、いけしゃあしゃあと、日本のパールハーバーの方が先で、原爆投下は正当な戦争終焉のための正しい方法だったなどとほざいていますが、まったく呆れ返ってしまう制覇主義ですが、では本書が暴いてみせた問題にはどう言い分けするのでしょうか?
悪しき戦争を終わらせた正義の味方の連合国軍のやった、真っ当な所業とはとうてい思えません。
つまり、この本はさらにGHQが血眼になって行ったとんでもないこと、敗戦直後から4年あまり日本国内で書かれた原爆体験の多くをあらゆるメディアにわたって検閲・弾圧して発禁処分にして人びとの目に触れないようにしたことを暴いているのです。
それはただ、自分たちがどんなに非人間的な行為をしたのか、原爆投下がどれほど邪悪な悪魔の仕業だったかを知られたくないために、血相を変えて隠すのに専念したとても卑怯な行為だったということです。
そうして今も、正義を旗印にイラクやアフガンに乗りこんでいるというわけです。詳細をみるコメント0件をすべて表示