Google Earthでみる 地球の歴史 (岩波科学ライブラリー 149)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (104ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000074896

作品紹介・あらすじ

Google Earthで、地球史の舞台を訪ねましょう。極北の大地から、絶海の孤島まで、どんな場所でもひとっ飛び。フィールド経験豊かな地球科学者が案内してくれます。ページをめくるごとに、46億年のパノラマが、オールカラーで展開。見たら必ず行きたくなります。

感想・レビュー・書評

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  • 1650

    後藤和久
    1977年生まれ。東北大学大学院工学研究科附属災害制御研究センター助教。専門は、地質学。とくに、地球外天体衝突と生物絶滅、原生代初期のスノーボールアース現象、先史・歴史時代の津波現象の解明など

    ガラパゴス諸島(エクアドル) イエローストーン国立公園(米国) ロス・グラシアレス国立公園(アルゼンチン) ラウターブルンネン(スイス) シベリア北部(ロシア) ナイアガラの滝(米国・カナダ国境) ボラボラ島(仏領ポリネシア) フナフティ環礁(ツバル) 沖ノ鳥島(日本) セノーテリング(メキシコ) リース・クレーター(ドイツ) グランドキャニオン(米国) モニュメントバレー(米国) デビルズタワー(米国) ウルル(エアーズロック:オーストラリア) 王家の谷(エジプト) ラパ・ヌイ(イースター島:チリ) 海半球(ポリネシア) シエラマドレ山脈(メキシコ) ナミブ砂漠(ナミビア) ホワイトサンズ(米国) リヤド近郊(サウジアラビア) アマゾン川源流(ブラジル) エバーグレーズ国立公園(米国)

    フナフティ環礁
    太平洋に浮かぶ島国ツバルは、九つの島からなる総面積二五・九平方キロの小さな 国である。この広さは、日本でいえば東京都の立川市くらいの面積である。面積が小 さいだけではない。島は細長く、幅が一〇〇メートルしかない場所もある。首都フナ フティがあるフナフティ環礁を上空から眺めると、まるで输っかにしたヒモのように 見える。いまにもちぎれてしまいそうである。この、か細い島に、約五〇〇〇人の住 民が暮らしている。 フナフティ環礁は、ボラボラ島のサンゴ礁よりもさらに発達した、サンゴ礁だけが 環状に連なった「環礁」とよばれる段階にある。中央にあったと考えられる島は、す でに海面下に沈んでいる。ツバルの人びとは、海面上に残った環礁の上で生活してい る。画像では、そのフナフティ環礁に近寄ってみた。陸地の幅は、大体一〇〇メート ル。両脇から海が迫る。こうした細長い陸地が、全長約六〇キロにわたって弧を描 く。画像の左上に見える道のようなものは、この島でもっとも幅広い陸地にある、唯 一の飛行場である。 家を一歩出れば、そこは見渡すかぎりのマリンブルーの海。これを羨ましいと思う かどうかは、意見が分かれるところだろう。この島はいま、地球温暖化の影響で水没 の危機にさらされている。陸地の海抜はわずか五メートルしかないからである。近年 では、海岸浸食や高潮災害が深刻な問題になっているという。

    海半球
    わたしたち日本人が見る地図は、北を上にして、日本やヨーロッパ、北米などを中 心に置いている。このような地図は、北半球に住む人間の日が生み出したものであ る。地図には本来、北を上にしたり、日本やヨーロッパを中心に置く必然性はない。 グーグルアースでは、地球をさまざまな角度から見ることができる。たとえば、南 北を逆さまにしてみるなど、自由自在である。見方を変えると、地球の面白い特徴が いろいろと見えてくる。画像では、仏領ポリネシアのタヒチ周辺を中心にしてみた。 このあたりを中心とすると、陸地はほとんど見えず、まさに「海半球」とよぶにふさ わしい景色になる。 この海半球を舞台として活躍したのが、ポリネシア人とよばれる人たちである。北 にハワイ諸島、南東にイースター島、南西にニュージーランドを頂点としてできあが る広大な領域は、「ポリネシア大三角形」とよばれる。ポリネシア人は、南アジアを 起源としており、太平洋の島々に移りはじめたのは、一万年前くらいといわれる。 タヒチからサモアまで二六〇〇キロ、イースター島まで四〇〇〇キロもあるが、驚 くべきことに、これらの島々には交流ネットワークがあり、人びとは互いに行き来し ていたらしい。ポリネシア人たちは、どれほど高い航海技術をもっていたのか、興味 は尽きない。

    この画像を見てから、人間の活動と土地条件に注意していると、人間は、平地やアクセスの良い場所、水や食料などが得やすい場所を選んで住んでいることがわかって きた。当たり前のことかもしれないが、人間の営みにはあらためて感心させられる。

    アマゾン川源流
    自然がつくり出す光景は、じつに素晴らしい。まるで絵画のようなこの画像もそう 思わせてくれる。密林の中を蛇行しながら流れるこの川は、世界最大の流域面積をも つァマゾン川の源流のひとつで、ペルーとブラジルの国境を隔てている。 この画像を見ていると、いろいろなことに気がつく。たとえば、蛇行が激しく、川 から切り離されてできた三日月湖がいくつも残っている。画像の中央左、ヘアピン カーブのような部分も、いまにも川同士が接合して、新しい三日月湖になりそうであ る。また、蛇行がきついところを見ると、湾曲部の内側が白っぽくなっており、ここ に土砂が堆積していることがわかる。これは、湾曲部の内側では、外側と比べて水流 が弱くなっており、土砂の堆積が進むためである。 それにしても、アマゾン川の流域は広い。グーグルアースを使って、大西洋側に面 した河口付近から、川をさかのぼって源流へとたどってみた。すると、途中で何本も の川が合流していて、そのうちのいくつかは、南米大陸の反対側の太平洋側にあるア ンデス山脈付近にまで達していることがわかった。アンデス山脈の東側に流れる融氷 水や雨水が起源となっているのだろう。河口からこの源流付近まで、直線距離にして も三〇〇〇キロ以上ある。アマゾン川の全長が六五〇〇キロに達するというのもうな ずける。

  • 170923 中央図書館
    おおかた10年前の出版であるが、Google Earthの威力は、すでに世界を「睥睨」していたことがよくわかる。ロシアの湿地湖沼群が面白かった。

  • 地球における人間活動の拡大。
    それを可視化するのにどうしようか...と思案して、この本を手にしました。

    イエローストーン国立公園やラパ・ヌイなどの位置情報と解説が出ているので便利です。

  • 地質学に、衛星写真を使う、そんな時代なのか。でも、そのおかげで軍用地も確認できるのだから、いい時代である。

  • 1 自然をみる  2 災害をみる  3 地球史をみる  の三部に分かれている。
     2008年の本なので、災害に関しては2004年のインドネシア・スマトラ沖地震・津波について書かれている。田老の津波防波堤が町をX字型に横切っている写真もある。まさかその3年後にこの防波堤を超える津波が来るとは…。

    災害の後は、公開されているレイヤによって、その後の調査の結果を見ることができ、今後に役立てることができるようになっていることを知った。

    地球史に関しては、見る人が見れば、衛星の映像からこんなことがわかるのかと驚くこともあった。

  • 写真が多くて、楽しく読めました。

  • google Earthは、それだけでも楽しめます。
    地質の知識があれば、もっと楽しめることが分ります。
    Google Earthをみるときに、本書は必携でしょう。

  • 地球は美しい。Googleで見ても美しい。オールカラー。

  • タイトルが岩波っぽくない、なんとなく

  • 2009/6/1:図書館で借りる
    2009/6/1:ぱらぱらと眺める

    仮想的な旅行気分で面白い。

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