東アジアと東南アジアの近世 15~18世紀 (岩波講座 世界歴史 第12巻)
- 岩波書店 (2022年3月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000114226
作品紹介・あらすじ
「商業(交易)の時代」を契機に、一五〜一八世紀の内陸アジア、東アジア、東南アジアからなる東ユーラシアとそれを取り巻く海域世界で、ヒト、モノ、情報の流れが活性化した。国際秩序の変化、諸国家の展開を描きつつ、都市や港市を中心とした地域社会の再編包括的に描き出す。
感想・レビュー・書評
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https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/568706詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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15〜18世紀を扱う論文集。興味を持った部分をつまみ食い。
東南アジアでは、鄭和の遠征や西方での香辛料需要から「商業の時代」へ。イスラムと上座部仏教の受容。しかし17世紀後半には胡椒価格暴落、清朝の海上貿易禁止令などにより「商業の時代」は終焉。18世紀には中国貿易が活性化、英も参入。
明代の科挙のハードル低下により士大夫と庶民の距離が近づいたことに加え、出版業の隆盛もあり通俗文芸など文化が大衆化。清朝では、「華夷一家」の下、今日的な「国際関係」かはともかく、朝貢・直省・互市・藩部の秩序が形成。列強が来た19世紀でも、同時代の感覚では従前の連続・手直しに過ぎず。清朝の国内支配構造の特徴は、漢地・外藩など在来支配層に委ねる複合性、満洲人支配と在来型支配の両立、天子ほかハン、チベット仏教の保護者など皇帝自身も複合的・多面的な性格。
江戸期日本は、長崎(対シナ海域)、対馬(対朝鮮)、薩摩(対琉球)、松前(対蝦夷地)という「四つの口」により周辺地域との関係を再構築、その中で中国中心の華夷秩序とは別に日本中心の華夷の論理を認識。