- Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000221610
作品紹介・あらすじ
二〇〇五年一一月、「人権の母国」フランスのパリ郊外で、なぜ移民たちの「暴動」が起きたのか。その社会的背景をさぐり、「大革命」以来培ってきた「平等」理念と「共和国的」統合モデルが今なお有効なのかを問い、今後に求められる変化を展望する。長年この移民統合問題を追究してきた著者による書き下ろしの論考。
感想・レビュー・書評
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移民の歴史から今日の諸問題に至るまで全てを網羅したのではないかと思える作品。
長いけど著者の主張はわかりやすい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ヨーロッパ各国の移民政策に関心があるので。フランス革命時の理念のもとに共和国民をナシオンとして法の下に個別性を保留して平等に扱う、という方針がフランスの基本理念だけど理念と現実が乖離してる状況でどう両者を擦り合わせていくのか、という解説。国籍をとればすべて平等、というのはやはり単純すぎだよね・・・。平等(エガリテ)とは別に公平(エキテ)という概念がある、のは目ウロコ。日本ではあまり咀嚼されることない観念のような・・・もともと均質性の高い文化なのでそもそもあまり意識されなかったと思う。実際にある差異を埋めることで平等に近づくための手段がエキテ、でいいのかな?まあ確かにネイティヴとそうでない人とで同じ数学の試験を課するのは平等なようでそうでない。読解力の差はあるんだ。移民の子孫の現状見てると映画「キング~罪の王」をなぜか思い出す。どこにも行き場がなくアイデンティティのもとから拒否されるとそりゃ絶望しますね。それにしても原則にこだわるあまり個別性を調査したくても出身等についての統計がほとんど無いって・・・。英国となんという差。統計は対策の基礎資料なんだがなあ。あ、日本もないわ、そういえば。とほほ。