学徒兵の精神誌: 「与えられた死」と「生」の探求

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000224628

作品紹介・あらすじ

敗色次第に濃厚な一九四三年一〇月、大学生・高専生にたいする徴兵猶予が停止された。学徒出陣の始まりである。続々と死地に送り出された彼らは、この理不尽な戦争での死を受け入れることに苦悶し、厖大な手記を残した。自らの死に納得するために彼らがはらった超人的な努力の悲劇と逆説を、著者はそれらの手記の中に克明に追跡する。前著『ねじ曲げられた桜』で出会った特攻隊員たちへの限りない哀悼の念が、著者に本書を構想させた。

感想・レビュー・書評

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  • 2006年刊。大学生が学徒出陣し、そして特攻隊に志願していった。彼らの日記・書簡から、賛美に流れがちな特攻隊学徒出陣者の隠された心性を明らかにする。旧制高校生の驚異的な読書量に支えられた教養、観念的とはいえ、政策の裏面を見通せる見識を持つ彼ら。戦争指導をシニカルに眺めながら、彼らの命令により回避できない死を迎える構図が涙を誘う。広範な教養の故に、安易にマルキシズムにかぶれていないところもいい。そして、葛藤の果てにたどり着く死の合理化。「愛国心はたやすく、戦争は大変」とはベトナム帰還兵の言らしい。
    この愛国心と戦争賛美・肯定とを安易に混同し、あるいは結合したりしないよう気を配りたい。特攻隊に「志願」(本心や実像は志願といいがたいが)した彼らも、そうだったのだから…。

  • 批判的な思考力を持っていたはずの当時の「知的エリート」たちが、なぜ国家のプロパガンダを受容し、あるいは推奨するようにして死んでいったのか。この問いかけはとても興味深かったし、その答えも知りたいと思った。それにしても、こういう学徒兵の心情を追究する書籍というのは、なぜ筆者の感情がもろに出てきてしまうのだろう…。読みにくくて仕方がない!!

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